ファクタリングと債権譲渡禁止特約の関係を正しく理解するための基礎知識
2026年2月2日
ファクタリングを検討する際に、多くの事業者が直面するのが契約書に記載された債権譲渡禁止特約の存在です。売掛金を資金化したいと考えていても、取引先との契約に「債権の譲渡を禁止する」といった条文があることで、利用できないのではないかと不安になるケースは少なくありません。しかし、債権譲渡禁止特約があるからといって、必ずしもファクタリングが不可能になるわけではありません。本記事では、ファクタリングと債権譲渡禁止特約の関係性を中心に、法律上の考え方や実務での対応ポイントについて詳しく解説します。
ファクタリングの基本的な仕組み
ファクタリングとは、将来入金予定の売掛債権を第三者であるファクタリング会社に譲渡し、入金期日を待たずに現金化する仕組みです。銀行融資のように借入を行うのではなく、債権の売買として処理される点が特徴です。
この仕組みによって、資金繰りの改善やキャッシュフローの安定化が図れるため、特に入金サイトが長い業種や急な資金需要がある事業者にとって有効な手段とされています。
債権譲渡禁止特約とは何か
債権譲渡禁止特約とは、取引先との契約書において、売掛債権を第三者に譲渡することを禁止する旨を定めた条項です。この特約は、取引先が債権の管理や支払先の変更による混乱を避ける目的で設けられることが多く、商取引においては珍しいものではありません。
一見すると、この特約がある場合、ファクタリングの利用は完全に制限されるように思われがちですが、実際にはもう少し複雑な扱いとなります。
債権譲渡禁止特約と法律上の考え方
民法では、原則として債権は自由に譲渡できるものとされています。しかし、当事者間の合意によって譲渡を制限することも可能とされてきました。
一方で、事業者の資金調達を円滑にする目的から、債権譲渡禁止特約があっても、一定の条件下では債権譲渡そのものが無効にならないという考え方が広がっています。つまり、特約違反にはなるものの、譲渡行為自体が当然に無効になるとは限らないという点が重要です。
ファクタリングにおける実務上の扱い
実務上、債権譲渡禁止特約が付いている売掛債権については、ファクタリング会社ごとに対応が異なります。特約がある債権は取り扱わない方針の会社もあれば、条件付きで対応する会社も存在します。
この場合、重視されるのは取引先との関係性や支払実績、債権の回収可能性です。特約の存在だけで一律に判断されるわけではなく、個別の事情を踏まえた審査が行われることが一般的です。
債権譲渡禁止特約がある場合のリスク
債権譲渡禁止特約があるにもかかわらずファクタリングを利用する場合、いくつかのリスクを理解しておく必要があります。代表的なものは、取引先との信頼関係への影響です。
特約に違反したことが判明した場合、契約違反として取引条件の見直しや契約解除につながる可能性も否定できません。そのため、短期的な資金確保だけでなく、今後の取引継続も見据えた判断が求められます。
・取引先との関係悪化の可能性
・契約違反とみなされるリスク
・ファクタリング条件の制限
これらを十分に理解したうえで検討することが重要です。
債権譲渡禁止特約があっても活用される理由
それでもなお、債権譲渡禁止特約がある売掛債権をファクタリングに活用するケースが存在するのは、資金繰りの切迫度が高い場面が多いためです。売上は立っているにもかかわらず、入金までの期間が長く、運転資金が不足する状況では、他に選択肢がない場合もあります。
また、取引先に通知しない形態のファクタリングでは、表面的には取引関係に影響を与えにくいと考えられる点も、利用される理由の一つです。ただし、この点についても契約内容の確認は欠かせません。
実務で意識したい対応ポイント
債権譲渡禁止特約がある売掛債権を扱う場合、まずは契約書の内容を正確に確認することが重要です。特約の文言によっては、一定の条件下で譲渡が認められているケースもあります。
また、ファクタリング会社に対しては、特約の存在を正直に伝えたうえで相談する姿勢が求められます。隠したまま契約を進めると、後のトラブルにつながる可能性が高くなります。資金調達と取引関係の両立を図るためにも、慎重な対応が必要です。
まとめ
ファクタリングと債権譲渡禁止特約の関係は、一見すると相反するもののように見えますが、実務上は必ずしも単純ではありません。特約があるからといって、すべてのケースでファクタリングが不可能になるわけではなく、契約内容や状況次第で活用の余地は残されています。一方で、契約違反や取引先との関係悪化といったリスクも存在します。資金繰りの改善を目的とする場合でも、法的な位置付けと実務上の影響を十分に理解したうえで、慎重に判断することが重要です。
