ファクタリング契約書の注意点を徹底解説!トラブルを防ぐチェックポイント
2025年12月8日
ファクタリングを利用する際、審査を通過して一安心した後に待っているのが「契約書の締結」です。しかし、この契約書の内容を十分に理解せずに判を押してしまうと、後から思わぬトラブルに巻き込まれたり、法外な手数料を請求されたりするリスクがあります。
ファクタリングは「債権の売買」という複雑な法的性質を持つため、契約書には特有の条項が数多く並びます。中には、利用者にとって著しく不利な条件や、ファクタリングを装った「闇金(違法な貸付)」の正体が隠されていることも珍しくありません。
本記事では、ファクタリング契約書を交わす際に必ず確認すべき注意点を、法的な視点と実務的な視点の両面から徹底的に解説します。あなたの会社の資産を守るために、どの項目に注目すべきかをマスターしましょう。
1. そもそもファクタリング契約とは何か?
注意点を確認する前に、ファクタリング契約の本質を理解しておく必要があります。
ファクタリングは、法律上は「債権譲渡契約」または「債権売買契約」に分類されます。これは銀行融資(金銭消費貸借契約)とは根本的に異なるものです。融資は「お金を借りて利息をつけて返す」取引ですが、ファクタリングは「手持ちの売掛金を売って現金を手に入れる」取引です。
この違いを曖昧にしたまま契約を結んでしまうことが、トラブルの入り口となります。契約書のタイトルが「債権譲渡通知」や「売買」に関連したものになっているか、まずは表題から確認しましょう。
2. 契約書で最も重要!「償還請求権」の有無
ファクタリング契約において、最も重要といっても過言ではないのが「償還請求権(しょうかんせいきゅうけん)」に関する条項です。
償還請求権なし(ノンリコース)が原則
健全なファクタリング契約は、原則として「償還請求権なし(ノンリコース)」でなければなりません。これは、売掛先(取引先)が倒産して売掛金が回収不能になったとしても、利用者がその代金を肩代わり(買い戻し)する必要がない、というルールです。
ファクタリング会社は「未回収のリスク」を買い取る対価として手数料を受け取っています。もし契約書に「売掛先が支払わない場合は利用者が支払う」「利用者に買い戻しの義務がある」といった記載がある場合、それは実質的に「売掛金を担保にした借金」です。このような「償還請求権あり」の契約を、貸金業登録のない業者が行うのは違法である可能性が高いため、絶対に見逃してはいけないポイントです。
3. 手数料と費用の内訳に関する注意点
契約書に記載された金額が、事前提示された見積もりと一致しているかを厳密にチェックします。
実質手数料の算出
契約書には「買取価格」と「手数料率(または手数料額)」が記載されます。注意すべきは、手数料以外に差し引かれる費用の有無です。 「事務手数料」「審査料」「着手金」「システム利用料」など、名目は様々ですが、これらを合計した「実質的な負担額」を確認してください。優良な業者は、すべての費用を含めた総額を契約書に明記しますが、悪質な業者は細かい項目を後出しして、手元に残る金額を削ろうとします。
債権譲渡登記の費用負担
2者間ファクタリングの場合、債権譲渡登記を行うことがあります。この際の登録免許税や司法書士への報酬(数万円〜10万円程度)をどちらが負担するのかも、契約書に明記されている必要があります。一般的には利用者負担となることが多いですが、不明瞭な加算がないか注意しましょう。
4. 「表明保証」と「契約解除」に関する条項
契約書の中盤以降に登場する「表明保証」という項目も、実は非常にリスクが高いポイントです。
表明保証(ひょうめいほしょう)とは
利用者がファクタリング会社に対して、「この売掛金は本物であり、二重譲渡もしておらず、内容に間違いありません」と保証することを指します。 もし、うっかり二重譲渡をしていたり、既に相殺されている債権を売ってしまったりした場合、この表明保証違反となり、即座に契約解除や損害賠償請求の対象となります。自分の売却する債権が「クリーンな状態か」を改めて確認してから契約に臨む必要があります。
契約解除と違約金の規定
どのような場合に契約が解除されるのか、そして解除された際の「違約金」がいくらなのかを確認してください。 悪質な業者の中には、些細な遅延やミスを理由に契約を解除し、受け取った金額以上の法外な違約金を請求する条項を忍び込ませていることがあります。違約金が買取額に対して不自然に高くないか(例えば20%を超えるなど)をチェックしましょう。
5. 2者間ファクタリング特有の注意点:集金代行
2者間ファクタリングの場合、利用者はファクタリング会社に代わって売掛先から代金を回収する「集金代行」の役割を担います。
回収代金の引き渡し期限
売掛先から入金があった後、いつまでにファクタリング会社へ送金すべきかが明記されています。「入金当日の15時まで」や「翌営業日の午前中」など、非常にタイトなスケジュールが設定されることが一般的です。 この期限を過ぎてしまうと、前述の「契約違反」とみなされ、業者から売掛先へ直接連絡(債権譲渡通知)が行われる正当な理由を与えてしまいます。
専念義務と流用禁止
入金されたお金は、その瞬間に「ファクタリング会社のもの」となっています。契約書には、このお金を他の支払いに流用することを固く禁じる条項があります。これを破ると横領罪などの刑事罰に問われるリスクがあるため、条文の重みを理解しておく必要があります。
6. 悪質業者を排除するための「控え」の徹底
契約時のプロセスそのものにも注意が必要です。
契約書の控えを必ず受け取る
「原本は一通しか作らない」「後で郵送する」といった理由をつけて、その場で契約書の控えを渡さない業者は、100%信用してはいけません。後から数字を書き換えられたり、存在しない条項を盾に脅されたりするトラブルの典型例です。対面契約ならその場で写しを、電子契約なら即座にPDFがダウンロードできることを確認しましょう。
文言の曖昧さを排除する
「その他、甲(業者)が必要と認める費用」といった曖昧な文言は、後から何を請求されるか分からないリスクを孕んでいます。具体的な金額や条件が特定できない表現が含まれている場合は、修正を求めるか、その業者との契約を見送るべきです。
まとめ:判を押す前の「最終チェックリスト」
ファクタリング契約書は、あなたの会社を守るための防具であると同時に、扱いを間違えれば自分を傷つける刃にもなります。契約の際は、以下のポイントを必ず再確認してください。
「償還請求権なし(ノンリコース)」が明記されているか
手数料の総額と、手元に残る金額に相違はないか
分割返済ではなく「一括送金」の契約になっているか
二重譲渡などの表明保証内容に嘘はないか
契約書の控えをその場で受け取れるか
これらの点に一つでも不安がある場合は、その場ですぐに判を押してはいけません。一度持ち帰って弁護士や専門家に相談するか、他の業者の見積もりと比較する勇気を持ってください。
適正な契約書は、健全なビジネスの証です。慎重に内容を吟味し、納得の上で契約を締結することで、ファクタリングを真に役立つ資金調達手段として活用しましょう。
