ファクタリングの税務上の扱いとは
2025年12月31日
― 会計処理・消費税・法人税の基本整理 ―
資金調達手法の一つとして注目されている「ファクタリング」ですが、税務上の扱いについて正確に理解していないと、思わぬ税務リスクを招く可能性があります。本コラムでは、ファクタリングの税務上の位置づけと、実務上注意すべきポイントを解説します。
1. ファクタリングは「借入」ではない
税務を考えるうえで最も重要なのは、ファクタリングは原則として借入金ではないという点です。
ファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、早期に資金化する取引です。そのため、金融機関からの融資とは異なり、負債として計上されないのが一般的です。
この性質は、税務上の処理にも大きく影響します。
2. 法人税上の扱い
(1)手数料は損金算入が可能
ファクタリングを利用した際に支払うファクタリング手数料は、原則として事業に必要な費用であるため、法人税法上は損金算入が可能です。
会計上は以下のような処理が一般的です。
売掛債権の帳簿価額を消去
ファクタリング手数料を「支払手数料」や「売上債権売却損」などで処理
取引の実態に即した勘定科目を選択することが重要です。
(2)売上の計上時期は変わらない
ファクタリングを利用しても、売上の計上時期自体は変わりません。
売上は、あくまで商品やサービスの提供が完了した時点で計上されており、債権を売却したからといって新たな売上が発生するわけではありません。
3. 消費税の取り扱い
(1)ファクタリング手数料は非課税
消費税法上、債権譲渡は原則として非課税取引に該当します。
そのため、ファクタリング会社に支払う手数料についても、消費税は課税されません。
「手数料=課税」と誤解されがちですが、ここは注意が必要です。
(2)売上にかかる消費税は通常どおり
ファクタリングを利用しても、売上そのものに係る消費税の納税義務が免除されるわけではありません。
取引先への売上については、通常どおり消費税の計算・申告・納税が必要です。
4. 個人事業主の場合の注意点
個人事業主がファクタリングを利用する場合も、基本的な税務の考え方は法人と同様です。
手数料は必要経費として計上可能
消費税は非課税取引
売上の計上時期は変わらない
ただし、青色申告・白色申告の違いや、簡易課税制度を選択している場合など、個別事情によって処理が異なるケースもあるため注意が必要です。
5. 税務上の注意点とリスク
ファクタリングを装った実質的な貸付取引と判断されると、税務上の扱いが変わる可能性があります。
例えば、
償還請求権付き取引の内容
手数料が著しく高額な場合
契約内容が不明確な場合
などは、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。契約書や取引実態の整理は必須です。
まとめ
ファクタリングの税務上の扱いを整理すると、以下のようになります。
借入ではなく「売掛債権の譲渡」
手数料は損金(必要経費)算入可能
手数料は消費税非課税
売上計上や消費税の納税義務は通常どおり
正しい税務処理を行うことで、ファクタリングは資金繰り改善の有効な手段となります。利用にあたっては、会計処理・税務処理を含めて専門家に相談することをおすすめします。
