ファクタリングの法的位置づけとは

2025年12月31日

― 貸金ではないが、法律と無縁ではない資金調達手法 ―

近年、中小企業や個人事業主の資金調達手段として「ファクタリング」が注目を集めている。銀行融資とは異なり、赤字や債務超過であっても利用できる点が特徴だが、その一方で「法的にグレーなのではないか」「違法な業者もあるのでは」といった不安の声も少なくない。
本コラムでは、ファクタリングの法的な位置づけについて整理する。

1. ファクタリングは「債権の売買契約」

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(将来入金予定の請求書)を第三者に譲渡し、早期に現金化する取引である。
法律上は、**民法第466条以下に規定される「債権譲渡」**に該当し、基本的には当事者間の合意により有効に成立する。

重要な点は、金銭消費貸借契約(いわゆる貸金)ではないということである。
そのため、ファクタリングそのものは貸金業法の規制対象ではない。

2. 貸金業法との関係 ― 原則は非該当

貸金業法は、「金銭の貸付け」を業として行う者を規制する法律である。
ファクタリングは「債権の買取」であり、形式上は金銭の貸付けではないため、貸金業登録は不要とされている。

ただし、以下のような場合には注意が必要だ。

実質的に返済義務がある

売掛先が支払わなかった場合、必ず利用者が返金する契約

担保・保証付きで金銭を交付しているにすぎない

これらは「偽装ファクタリング」と評価され、実態として貸付と判断される可能性がある。
この場合、無登録営業として貸金業法違反に問われるリスクがある。

3. 利息制限法・出資法との関係

ファクタリングでは「手数料」が発生するが、これも原則として利息制限法の利息には該当しない。
なぜなら、前提となる契約が貸付ではないからである。

しかし、実質的に貸付と認定された場合には、

手数料が「利息」とみなされる

年率換算で上限を超えれば違法

出資法違反(高金利)に発展する可能性

といったリスクが生じる。

4. 2社間・3社間ファクタリングと法的論点

ファクタリングには主に2つの形態がある。

2社間ファクタリング
利用者とファクタリング会社のみで完結。売掛先に通知しない。
→ 実務上は便利だが、契約内容の透明性がより重要。

3社間ファクタリング
売掛先も含めて債権譲渡通知・承諾を行う。
→ 法的には最もオーソドックスで、トラブルが少ない。

特に2社間では、
「債権譲渡なのか、単なる資金立替なのか」
が争点になりやすく、契約書の文言や実態が重視される。

5. 違法ファクタリングへの注意

近年、金融庁や消費者庁も違法ファクタリングへの注意喚起を行っている。
以下のような業者は要注意である。

「審査なし」「即日・誰でもOK」を強調

契約書を交付しない

買取ではなく「預り金」「立替金」と説明する

売掛金回収を名目に過剰な取り立てを行う

これらは、ヤミ金融と同視されるケースもあり、利用者側もトラブルに巻き込まれる可能性がある。

6. まとめ ― ファクタリングは合法、ただし実態が重要

ファクタリングは、日本法上、適法な資金調達手段として認められている。
しかし、その合法性は「名称」ではなく「契約の実態」によって判断される。

真正な債権譲渡 → 合法

実質的な貸付 → 違法の可能性

利用する際は、
契約書の内容・返還義務の有無・手数料の仕組み
を十分に確認することが不可欠である。