資金調達の金利はどれくらい?融資の種類ごとの違いと負担を抑える方法を解説
2026年9月1日
事業を運営していると、設備投資や仕入れ、従業員の給与、新規事業の立ち上げなど、さまざまな場面で資金が必要になります。手元の資金だけでは足りない場合、銀行融資やビジネスローン、日本政策金融公庫などの金融機関を利用して資金調達することが一般的です。
資金調達を検討する際に、特に重要なポイントの一つが「金利」です。同じ金額を借りたとしても、金利が異なれば最終的に支払う利息の金額も大きく変わります。さらに、金利だけを比較して資金調達先を決めると、手数料や返済期間などによって想定以上の負担が生じる可能性もあります。
現在の金融環境では、日本銀行が2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を1.0%程度に引き上げています。これに伴い、企業向け融資についても金利動向を確認しながら資金調達方法を選ぶ重要性が高まっています。
この記事では、資金調達における金利の基本的な仕組みから、銀行融資や日本政策金融公庫、ビジネスローンなどの特徴、金利を抑えるためのポイントまで詳しく解説します。
資金調達における金利とは
資金調達における金利とは、金融機関などから資金を借りた際に発生する利息の割合です。一般的には「年率○%」のように表示され、借入金額や借入期間などをもとに利息が計算されます。
たとえば、100万円を年5%の金利で1年間借りた場合、単純計算では年間5万円程度の利息が発生します。実際の返済額は返済方式や返済期間などによって変わるため、資金調達を行う際には金利だけでなく毎月の返済額や総返済額まで確認することが重要です。
事業者向け融資の金利は、すべての企業に一律で設定されているとは限りません。金融機関や融資制度によって異なるほか、企業の業績、信用状況、担保や保証の有無、融資期間などによって適用される金利が変わる場合があります。
日本政策金融公庫でも、融資制度や利用条件によって適用される利率が異なります。たとえば、2026年7月1日時点の小規模事業者・個人事業主向けの無担保融資では、基準利率が年3.50~5.20%とされており、特別利率が適用される場合にはさらに低い利率となる制度があります。
このように、資金調達における金利は「金融機関だからこの金利」と単純に決まるものではなく、利用する制度や事業者の条件によって変動することを理解しておきましょう。
資金調達の金利はなぜ重要なのか
資金調達で金利を重視する理由は、金利が返済総額に直接影響するからです。
たとえば、同じ500万円を借りる場合でも、年3%と年10%では発生する利息に大きな差が生じます。特に借入期間が長くなるほど、金利差による負担は大きくなります。
また、毎月の返済額が大きくなれば、事業に使える手元資金が減少します。売上が安定している企業であれば対応できても、創業直後や新規事業の開始直後など、キャッシュフローが安定していない時期には返済負担が経営を圧迫する可能性があります。
そのため、資金調達を行う際は「いくら借りられるか」だけでなく、「いくら返すことになるのか」まで考えることが大切です。
資金調達方法によって金利は異なる
資金調達には、銀行融資、日本政策金融公庫、信用金庫・信用組合、ビジネスローンなどさまざまな方法があります。
一般的に、銀行融資などは比較的低い金利で資金を調達できる可能性がある一方、審査に時間がかかったり、事業計画や決算書などの書類を準備したりする必要があります。
一方、ビジネスローンは銀行融資などと比較して審査や融資までのスピードを重視している商品もあります。ただし、商品によっては金利が高めに設定されているケースもあるため、早く借りられるというメリットだけで判断しないことが重要です。
また、ファクタリングは売掛債権を売却して資金化する方法であり、融資とは仕組みが異なります。そのため「金利」ではなく、基本的には売掛債権を買い取ってもらう際の「手数料」でコストを比較します。
資金調達方法を比較する際は、金利が設定される融資なのか、手数料が発生するファクタリングなのかなど、そもそもの仕組みの違いを理解する必要があります。
銀行融資の金利と特徴
銀行融資は、事業者が資金調達を行う際の代表的な方法です。
銀行から融資を受ける場合、借入金額や融資期間、企業の信用力などに応じて金利が決まります。一般的には、金融機関側から見て信用リスクが低い企業ほど、低い金利で融資を受けられる可能性があります。
銀行融資のメリットは、比較的まとまった金額を調達できる可能性があることや、長期的な資金計画を立てやすいことです。
一方で、審査では企業の財務状況や事業計画などが確認されるため、必ずしも希望どおりの金額を借りられるとは限りません。また、申し込みから融資実行まで一定の時間が必要になる場合があります。
そのため、銀行融資は「数日以内に資金が必要」というケースよりも、ある程度時間に余裕を持って計画的に資金調達したい場合に向いているといえるでしょう。
日本政策金融公庫の金利と特徴
日本政策金融公庫は、政府系金融機関として中小企業や小規模事業者などを対象とした融資を行っています。
日本政策金融公庫の融資では、利用する制度や担保の有無、特別な要件を満たしているかなどによって適用される金利が異なります。2026年7月1日時点の国民生活事業の金利情報では、税務申告を2期終えている事業者が無担保融資を利用する場合、基準利率は年3.50~5.20%となっています。特別利率が適用される制度もあり、条件によっては基準利率より低い利率で借りられる可能性があります。
また、日本政策金融公庫では2026年8月3日付でも金利変更が公表されており、金利は固定されたものではなく、制度や時期によって変更されることがあります。
そのため、日本政策金融公庫からの資金調達を検討する場合は、過去の記事や古い情報だけではなく、申し込み時点の公式な金利情報を確認することが重要です。
ビジネスローンの金利は高いのか
ビジネスローンは、法人や個人事業主が事業資金を調達するための商品です。
銀行融資と比べて審査や融資までのスピードを重視した商品も多く、急な運転資金が必要になった場合などに利用を検討できます。
一方で、ビジネスローンは商品によって金利の幅が大きいため、申し込む前に金利条件を確認する必要があります。
特に「最短即日」「オンライン完結」など、スピードを強みとしている商品では、低金利の銀行融資とは異なる条件が設定されている場合があります。
ビジネスローンを比較するときは、表示されている最低金利だけを見て判断するのではなく、自社に実際に適用される可能性がある金利や、借入期間を踏まえた総返済額を確認しましょう。
固定金利と変動金利の違い
資金調達の金利には、固定金利と変動金利があります。
固定金利は、契約時に決められた金利が一定期間または返済期間中に変わらないタイプです。将来的に支払う利息を予測しやすいため、資金繰りの計画を立てやすいというメリットがあります。
一方、変動金利は、市場金利などの変化に応じて適用金利が変わる可能性があります。借入時点では低い金利であっても、将来的に金利が上昇すれば返済負担が増える可能性があります。
日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を1.0%程度へ引き上げており、今後の金融政策や市場環境によって企業の借入金利が変化する可能性にも注意が必要です。
変動金利を利用する場合は、現在の金利だけではなく、金利が上昇した場合にも無理なく返済できるかを確認しておくことが大切です。
資金調達の金利を比較するときのポイント
資金調達方法を比較するときは、単純に「金利が低い順」に並べるだけでは不十分です。
まず確認したいのが、実際に適用される金利です。金融機関の商品ページなどに「年○%~○%」と幅が記載されている場合、最低金利がすべての事業者に適用されるわけではありません。
次に、借入期間を確認しましょう。同じ金利でも、短期間で返済する場合と長期間にわたって返済する場合では、最終的な利息負担が変わります。
さらに、融資手数料や保証料などが必要になる場合もあります。金利が低くても、その他の費用が高ければ、総合的な資金調達コストが大きくなる可能性があります。
そのため、資金調達先を比較するときは、金利だけではなく「総返済額」や「実質的な調達コスト」を確認することが重要です。
資金調達の利息を計算する方法
資金調達にかかる利息を大まかに把握するには、次の計算式を利用できます。
「利息=借入金額×金利×借入期間」
たとえば100万円を年5%で1年間借りた場合、単純計算で5万円の利息となります。
ただし、実際のローンでは元金を毎月返済していくため、常に100万円全額に対して利息が発生するとは限りません。元金が減れば、それに応じて利息も減少するため、実際の返済額は返済方式によって変わります。
また、元利均等返済や元金均等返済など、返済方法によって毎月の返済額や利息総額が変わることにも注意が必要です。
資金調達を申し込む前には、金融機関が提示する返済予定表などを確認し、毎月の返済額と総返済額を把握しておきましょう。
資金調達の金利を抑える方法
資金調達にかかる金利を抑えたい場合は、複数の金融機関や制度を比較することが基本です。
同じ金額を借りる場合でも、利用する金融機関や融資制度によって適用金利が異なる可能性があります。自社が利用できる制度を複数調べ、その条件を比較することが大切です。
また、決算書や事業計画書などの資料を整えておくことも重要です。事業の収益性や返済能力を金融機関に適切に伝えられれば、融資条件の検討材料になる可能性があります。
さらに、必要以上の金額を借りないこともポイントです。
資金調達額が大きくなれば、その分だけ利息負担も増える可能性があります。必要な資金額を事前に整理し、余裕を持たせながらも過剰な借り入れにならないようにすることが重要です。
金利が低い資金調達方法を選べばよいとは限らない
資金調達では「できるだけ低金利で借りたい」と考えるのが一般的ですが、金利だけを基準に選ぶのはおすすめできません。
たとえば、低金利の融資を利用できても、融資実行までに数週間かかる場合があります。支払い期限が迫っている企業にとっては、低金利であることよりも、必要なタイミングに資金を確保できることのほうが重要になる場合があります。
一方、短期間で資金を調達できる方法は、金利や手数料などのコストが高くなる可能性があります。
そのため、「金利の低さ」「調達スピード」「調達可能額」「審査条件」「返済期間」を総合的に比較して、自社の状況に適した方法を選ぶことが大切です。
ファクタリングは金利ではなく手数料で比較する
資金調達方法を調べていると、ファクタリングの金利について検索することがあります。しかし、ファクタリングは融資とは異なり、売掛債権を売却して資金化する仕組みです。
そのため、ファクタリング会社から資金を借りて利息を支払うのではなく、売掛債権の買取時に手数料が発生します。
たとえば、100万円の売掛債権を手数料5%でファクタリング会社に売却した場合、単純計算では5万円が手数料となり、受け取れる金額は95万円となります。実際の金額は契約内容や手数料以外の費用などによって変わるため、契約前に確認が必要です。
ファクタリングには、融資とは異なる審査基準や資金調達の特徴があります。そのため、銀行融資の審査に時間がかかる場合や、借入金を増やしたくない場合などに選択肢となることがあります。
ただし、ファクタリングは「金利がないから無料で資金調達できる」という意味ではありません。手数料というコストが発生するため、実際に受け取れる金額を確認して利用することが重要です。
資金調達で金利以外に確認すべき費用
資金調達では、金利だけでなくその他の費用にも注意しましょう。
融資商品によっては、事務手数料、保証料、印紙代などが発生することがあります。これらを含めると、金利だけを見ていた場合よりも実際の負担が大きくなる可能性があります。
また、繰り上げ返済を行う場合に手数料が発生する商品もあります。将来的に早期返済を検討しているのであれば、契約時点で確認しておくことが大切です。
資金調達方法を選ぶ際は、「年利○%」という数字だけを見るのではなく、契約から完済までに必要となる費用を総合的に確認しましょう。
資金調達前に返済計画を立てることが重要
資金調達を行う前には、借入後の返済計画を具体的に立てる必要があります。
毎月の売上や利益からどの程度の金額を返済に充てられるのかを計算し、無理のない返済額に設定することが重要です。
特に、売上が季節によって変動する事業では注意が必要です。繁忙期の売上だけを基準に返済計画を作ると、閑散期に資金繰りが厳しくなる可能性があります。
また、金利上昇の可能性がある変動金利の商品を利用する場合は、金利が上がった場合の返済額も想定しておくと安心です。
「借りられる金額」と「無理なく返済できる金額」は必ずしも同じではありません。必要な資金を確保しつつ、事業のキャッシュフローを圧迫しない借入額を検討しましょう。
資金調達の金利に関するよくある質問
資金調達の金利は何%なら低いですか
一概に「何%なら低い」と決めることはできません。
融資制度や担保の有無、企業の信用状況、借入期間などによって適用される金利が異なるためです。実際に、日本政策金融公庫でも制度や条件によって金利に幅があります。2026年7月1日時点では、無担保融資の基準利率が年3.50~5.20%とされています。
そのため、表示されている金利だけでなく、自社に適用される金利を確認することが重要です。
金利が低いほど資金調達では有利ですか
基本的には、同じ条件であれば金利が低いほど利息負担を抑えられます。
ただし、金利が低い代わりに審査や融資実行まで時間がかかる場合もあります。資金が必要な時期によっては、金利の低さよりも調達スピードを優先したほうがよいケースもあります。
ファクタリングに金利はありますか
ファクタリングは融資ではないため、一般的な融資のように金利を支払う仕組みではありません。売掛債権を売却する際に手数料が発生するため、資金調達コストを比較するときは手数料を確認します。
金利がないことだけを理由に利用するのではなく、売掛債権の額面に対して最終的にいくら受け取れるのかを確認することが大切です。
資金調達では金利と手数料のどちらを見るべきですか
利用する資金調達方法によって確認すべき項目が異なります。
融資であれば金利に加えて保証料や事務手数料などを確認し、ファクタリングであれば手数料やその他の費用を確認します。
最終的には、資金を調達するために実際いくらのコストが発生するのかを比較することが重要です。
まとめ
資金調達における金利は、借入後の利息負担や総返済額を左右する重要な要素です。銀行融資、日本政策金融公庫、信用金庫、ビジネスローンなど、資金調達方法によって金利や利用条件は異なります。
特に日本政策金融公庫では、融資制度や担保の有無、特別な条件を満たしているかなどによって適用される利率が変わります。2026年7月1日時点でも無担保融資の基準利率には一定の幅があり、利用する制度によって条件が異なることが確認できます。
また、日本銀行が2026年6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げるなど、金融環境は変化しています。今後資金調達を行う場合も、過去の金利情報だけを参考にせず、申し込み時点の最新情報を確認することが重要です。
資金調達先を選ぶ際は、単純に「最も金利が低いところ」を選ぶのではなく、借入期間、総返済額、手数料、融資までのスピード、審査条件などを総合的に比較しましょう。
すぐに資金が必要な場合には、銀行融資だけでなくビジネスローンやファクタリングなども選択肢になります。ファクタリングは融資とは異なり金利ではなく手数料が発生するため、実際に受け取れる金額を確認することが大切です。
自社の資金繰りや資金が必要な時期、必要額、返済能力を整理したうえで、それぞれの資金調達方法にかかるコストを比較することが、無理のない資金調達につながります。
