ファクタリングに利息制限法は適用される?手数料との関係や違法になるケースを解説
2026年10月1日
企業が資金繰りを改善する方法として利用されているファクタリングですが、「ファクタリングの手数料には利息制限法が適用されるのか」と疑問に感じる方も少なくありません。ファクタリングは、金融機関から融資を受ける場合とは異なる仕組みで資金を調達するため、利息と手数料の違いを理解しておくことが重要です。
一般的なファクタリングは、会社が保有している売掛債権をファクタリング会社へ売却し、その買取代金を受け取る仕組みです。そのため、通常の債権譲渡として行われるファクタリングであれば、貸付けを前提とする利息制限法の金利規制がそのまま適用されるわけではありません。金融庁も、一般的なファクタリングについて、売掛債権の売買契約であると説明しています。
一方で、契約の形式が「ファクタリング」であっても、実質的には貸付けと判断されるケースがあります。この場合には、貸金業法や利息制限法などの規制が問題になる可能性があります。
ここでは、ファクタリングと利息制限法の関係について、手数料の考え方や違法な取引と判断される可能性があるケースまで詳しく解説します。
ファクタリングに利息制限法は適用されるのか
結論からいうと、適正なファクタリング取引であれば、原則として利息制限法による上限金利の規制は直接適用されません。
利息制限法は、主に金銭の貸付けにおける利息の上限を定める法律です。金融庁によると、利息制限法の上限金利は貸付額に応じて15%から20%とされています。
一方、一般的なファクタリングは「お金を貸す取引」ではなく「売掛債権を買い取る取引」です。
たとえば、100万円の売掛債権をファクタリング会社に売却し、手数料として10万円が差し引かれ、90万円を受け取ったとします。
この場合、ファクタリング会社が90万円を貸し付けて、後から100万円を返済してもらうという関係ではありません。100万円の売掛債権を90万円で買い取ったという売買関係になります。
したがって、適正な債権譲渡として行われるファクタリングであれば、10万円は原則として「利息」ではなく「ファクタリング手数料」と考えられます。
ただし、名称だけで判断されるわけではありません。契約書に「債権譲渡」と書かれていても、実際の取引内容が貸付けと同じような経済的機能を持っている場合には、貸付けに該当する可能性があります。金融庁も、ファクタリングにおける貸金業該当性について、契約の形式だけではなく経済的側面や取引の実態によって判断されるとしています。
利息制限法とはどのような法律なのか
利息制限法は、金銭の貸借における利息の上限を定め、借主を過大な利息負担から保護することを目的とした法律です。
現在の利息制限法では、貸付金額によって上限金利が異なります。
元本が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満の場合は年18%、100万円以上の場合は年15%が上限です。
これらは「貸付け」に対する利息の規制であるため、売掛債権の売買である一般的なファクタリングに、そのまま適用されるわけではありません。
ただし、ファクタリングという名称を使っていても、実質的には金銭消費貸借と判断される取引であれば話は変わります。
そのため、ファクタリングを利用するときは「ファクタリングだから利息制限法とは無関係」と単純に考えるのではなく、実際の契約内容を確認する必要があります。
ファクタリングの手数料は利息とは違う
ファクタリングを理解するうえで重要なのが、手数料と利息の違いです。
融資の場合、金融機関などからお金を借り、一定期間後に元本と利息を返済します。
一方、ファクタリングでは、利用者が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、その対価として買取代金を受け取ります。
たとえば、100万円の売掛債権について、手数料が5万円であれば、利用者は95万円を受け取り、ファクタリング会社は100万円の売掛債権を取得するという形になります。
この5万円は、通常のファクタリングでは利息ではなく、売掛債権の買取にかかる手数料です。
ファクタリング会社は、売掛先の信用力や売掛債権の支払期日、取引内容などを確認し、債権を買い取ることで生じるリスクなどを考慮して手数料を設定します。
そのため、融資の金利とファクタリングの手数料率を単純に比較することはできません。
手数料が高ければ違法なファクタリングなのか
ファクタリングの手数料が高いというだけで、直ちに利息制限法違反になるわけではありません。
なぜなら、適正なファクタリングであれば、そもそも貸付けではなく売掛債権の売買だからです。
ただし、高額な手数料を設定している場合には注意が必要です。
金融庁も、高額な手数料や大幅な割引率によるファクタリングについて、利用者の資金繰りをかえって悪化させ、多重債務につながる危険性があるとして注意喚起しています。
また、手数料が著しく高いことに加えて、売掛先から回収できなかった場合のリスクを利用者側が実質的に負担しているなど、取引全体を見ると貸付けと同様の構造になっている場合には、単なる高額手数料の問題ではなく、貸金業法や利息制限法との関係が問題になる可能性があります。
ファクタリングが貸付けと判断される可能性があるケース
ファクタリングで特に注意したいのが、売掛債権を売却したにもかかわらず、利用者が実質的に返済義務を負うケースです。
たとえば、売掛先が支払いをしなかった場合に、ファクタリング会社が利用者に対して売掛債権の買戻しを要求できる契約があります。
このような契約では、売掛先の信用リスクをファクタリング会社が負担するのではなく、実質的に利用者が負担することになります。
また、売掛先から回収できなかった場合に、利用者自身の資金からファクタリング会社へ支払うことが義務付けられている場合も注意が必要です。
金融庁は、このような取引について、ファクタリングとして契約されていても、経済的に貸付けと同様の機能を有している場合には貸金業に該当するおそれがあるとしています。
リコースファクタリングと利息制限法の関係
ファクタリングには、売掛先が支払えなかった場合のリスクを誰が負担するのかという重要な問題があります。
一般的なノンリコース型では、売掛先が倒産するなどして売掛金を回収できなくなった場合でも、一定の条件のもとで利用者がファクタリング会社へ返済する義務を負わない仕組みになっています。
一方、リコース型では、売掛先の不払いが発生した場合に利用者が一定の責任を負う契約になっています。
リコース型だから必ず違法というわけではありませんが、売掛債権の売買ではなく、実質的に債権を担保とした貸付けになっていないかを確認する必要があります。
金融庁も、ノンリコースの規定があるかどうかだけで判断するのではなく、経済的な実態を踏まえて貸金業該当性を判断すると説明しています。
ファクタリングの契約で確認したいポイント
ファクタリングを利用する際は、単純に手数料率だけを確認するのではなく、契約全体を確認することが重要です。
まず確認したいのが、売掛債権を本当に売却する契約になっているかという点です。
次に、売掛先が支払えなかった場合の責任について確認します。
「売掛先が支払わなければ利用者が全額返済する」「一定期間経過後に買い戻す必要がある」といった条項がある場合は、契約内容を慎重に確認したほうがよいでしょう。
さらに、ファクタリング会社へ支払う手数料以外に、事務手数料、調査費用、管理費用、その他の名目の費用が設定されていないかも確認する必要があります。
契約時に説明された手数料と、実際に受け取れる金額が一致しているかを確認することも重要です。
裁判例でもファクタリングの実質が重視されている
ファクタリングと利息制限法の関係を考える際には、裁判例も参考になります。
実際に裁判では、契約書上はファクタリングや債権売買とされていた取引について、実質的に金銭消費貸借に準じる取引であるとして、利息制限法の類推適用が問題となった事例があります。裁判所の公開判決でも、取引の実質を貸付けと捉え、利息制限法の制限利率を超える部分について判断した事例が確認できます。
また、金融庁が公表している注意喚起でも、ファクタリングに関する複数の裁判例が紹介されています。
たとえば、売掛債権の不払いリスクが実質的に利用者側へ移転していたケースや、買戻しを余儀なくされる状況にあったケースなどについて、貸付けに該当すると判断された事例があります。
このことからも、ファクタリングでは「契約書にファクタリングと書いてあるから問題ない」と考えるのではなく、実際の取引内容が重要だと分かります。
2社間ファクタリングでも注意が必要
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社の2社間で契約するため、売掛先にファクタリングの利用を通知せずに資金調達できる点が特徴です。
しかし、2社間ファクタリングだから利息制限法の対象になる、あるいは対象にならないと一律に判断することはできません。
重要なのは、2社間か3社間かという形式よりも、実際の契約内容です。
売掛債権を適正に譲渡しているのであれば、一般的な債権売買として扱われます。
一方で、売掛先から入金された資金を利用者がファクタリング会社へ返済することが実質的に義務付けられていたり、売掛先の不払いについて利用者が全面的に責任を負ったりするなど、実質的に貸付けと変わらない仕組みになっている場合は注意が必要です。
ファクタリングを利用するときは実質的な負担を確認する
ファクタリングを利用するときは、「手数料が何%なのか」だけでなく、「実際にいくら受け取れるのか」を確認することが大切です。
たとえば、100万円の売掛債権を売却するとしても、手数料以外の費用が追加されれば、実際の資金調達額はさらに少なくなります。
そのため、契約前に売掛債権の額面、手数料、その他の費用、実際の入金額、売掛先からの入金後に必要となる手続きなどを確認しておきましょう。
また、手数料を年率に換算して単純に融資の金利と比較することにも注意が必要です。
ファクタリングは売掛債権の売買であり、売掛債権の支払期日までの期間や債権回収リスクなどを含めて手数料が設定されるため、融資の金利とは性質が異なります。
ファクタリング会社を選ぶ際の注意点
ファクタリング会社を選ぶ際には、手数料の安さだけで判断しないことが重要です。
契約内容を明確に説明しているか、売掛先の不払いが発生した場合の扱いを説明しているか、手数料以外の費用がないかなどを確認しましょう。
特に、「必ず買い戻す必要がある」「売掛先が支払わなくても利用者が全額返済する」といった内容が含まれている場合は、契約の実態を慎重に確認する必要があります。
金融庁も、ファクタリングを装った違法な貸付けについて注意喚起しており、ファクタリングとして契約書が作成されていても、実質的に貸付けと同様の機能を持つ取引については貸金業に該当する可能性があるとしています。
ファクタリングと利息制限法についてよくある疑問
「ファクタリングの手数料は年15%を超えてはいけないのか」という疑問があります。
これは一概にそうとはいえません。利息制限法の上限金利は貸付けに対する規制であり、適正な債権売買として行われるファクタリングの手数料に、そのまま適用されるわけではありません。
一方で、実質的に貸付けと判断される場合には、利息制限法を含む貸金に関する規制が問題になる可能性があります。
「手数料が高いファクタリングはすべて違法なのか」という点についても、手数料の高さだけで判断することはできません。
ファクタリングの手数料は、売掛先の信用力や支払期日、債権回収リスクなどを考慮して決定されるためです。ただし、著しく高額な手数料や大幅な割引率の取引については、資金繰りを悪化させる可能性があるため注意が必要です。
まとめ
ファクタリングと利息制限法の関係を理解するうえで重要なのは、ファクタリングが「貸付け」なのか「売掛債権の売買」なのかという点です。
一般的なファクタリングは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社へ譲渡し、その対価として資金を受け取る債権売買です。そのため、適正なファクタリングであれば、融資に適用される利息制限法の上限金利が手数料にそのまま適用されるわけではありません。
しかし、契約書上はファクタリングであっても、売掛債権の買戻しが義務付けられていたり、売掛先の不払いについて利用者が実質的に返済義務を負っていたりするなど、経済的に貸付けと同様の機能を持つ場合には、貸金業に該当する可能性があります。
その場合には、利息制限法などの貸金に関する規制が問題となる可能性があります。
ファクタリングを利用する際は、単に「手数料が安いか」だけを見るのではなく、契約の内容、売掛先が支払わなかった場合の責任、買戻し義務、その他の費用などを総合的に確認することが大切です。
なお、個別の契約が利息制限法や貸金業法に該当するかどうかは、契約条項や取引実態によって判断が変わるため、具体的な契約について問題がある場合は弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。
