補助金に税金はかかる?課税対象になる補助金の種類や会計処理を解説

2026年10月1日

事業を運営していると、設備投資や販路開拓、人材育成などを目的として補助金を活用する機会があります。補助金を受け取れば資金繰りの改善につながりますが、「補助金を受け取ったら税金はかかるのか」「補助金は売上として扱うのか」と疑問に感じる事業者も多いでしょう。

補助金は国や自治体などから支給される返済不要の資金ですが、返済する必要がないからといって、必ずしも税金がかからないわけではありません。法人が受け取る補助金については、原則として益金に算入され、法人税などの課税対象となる場合があります。

ただし、補助金の種類や支給目的、個人事業主か法人かによって税務上の扱いが異なることがあります。また、補助金を利用して固定資産を取得した場合には、圧縮記帳によって課税を繰り延べられる制度が利用できるケースもあります。

ここでは、補助金と税金の関係について、法人税や所得税、消費税、圧縮記帳などを含めて詳しく解説します。

補助金には原則として税金がかかる

補助金は返済する必要がないため、融資と比べると非常に有利な資金調達方法です。

しかし、補助金を受け取った場合、すべての補助金が非課税になるわけではありません。

法人が事業に関連して受け取る補助金は、原則として法人税の計算上、益金として扱われます。そのため、補助金を受け取ったことで利益が増加すれば、結果として法人税などの税負担が増える可能性があります。

たとえば、事業年度中に100万円の補助金を受け取り、補助金に関連する経費が100万円発生した場合、単純に補助金100万円だけを収益として考えるわけではありません。

補助対象経費などの費用も同時に計上することになるため、最終的な課税所得への影響は、会社全体の収益や経費などを踏まえて判断する必要があります。

つまり、「補助金100万円を受け取ったから100万円すべてにそのまま税金がかかる」という単純な仕組みではありません。

法人が受け取る補助金の税務上の扱い

法人が事業活動に関連して補助金を受け取った場合、原則として収益として計上することになります。

法人税では、会計上の利益をそのまま課税所得とするのではなく、税務上の調整を行ったうえで課税所得を計算します。

補助金についても、どのような目的で交付されたものなのか、いつ収益として認識するのかなどを確認する必要があります。

特に注意したいのが、補助金を受け取った年度と、補助対象となる経費を支出した年度が異なるケースです。

補助金の申請から交付までには一定の期間がかかることがあるため、実際の入金時期と会計上の収益計上時期が必ずしも一致するとは限りません。

そのため、補助金を申請した段階、交付決定を受けた段階、対象経費を支払った段階、補助金が入金された段階など、それぞれのタイミングを整理しておくことが重要です。

個人事業主が受け取る補助金にも税金がかかるのか

個人事業主が事業に関連する補助金を受け取った場合も、原則として所得税の課税対象となる可能性があります。

事業のために受け取った補助金であれば、一般的には事業所得などの計算に影響します。

たとえば、事業に必要な設備の購入費用を補助する目的で交付された補助金を受け取った場合、その補助金について適切な収入計上を行う必要があります。

ただし、補助金の種類や交付目的によって取り扱いが異なる可能性があるため、すべての補助金を一律に同じ方法で処理できるわけではありません。

個人事業主の場合は所得税だけでなく、住民税や国民健康保険料などにも影響する可能性があります。

そのため、補助金を受け取った際には、単純に入金された金額だけを確認するのではなく、その後の税負担まで含めて資金計画を立てることが大切です。

補助金は消費税の課税対象になるのか

補助金と消費税の関係についても確認しておく必要があります。

一般的に、補助金は商品やサービスの提供に対する対価として受け取るものではないため、消費税の課税売上には該当しないと考えられます。

つまり、通常の売上とは異なり、補助金を受け取ったこと自体に消費税が課税されるわけではありません。

ただし、補助金を使って設備やサービスを購入した場合、その購入取引については通常の消費税のルールが適用されます。

たとえば、補助金を利用して110万円の設備を購入した場合、その設備の購入代金に含まれる消費税については、消費税の課税関係を確認する必要があります。

さらに、補助金の制度によっては、消費税等を含めた補助対象経費の扱いについて特別なルールが設定されていることがあります。

補助金の申請時や実績報告時には、消費税の取り扱いについて公募要領や交付規程などを確認しておくことが重要です。

補助金を受け取ったときの仕訳

補助金を受け取った場合には、会計上の処理が必要になります。

たとえば、法人が100万円の補助金を受け取り、これを雑収入として処理するケースでは、一般的には次のような仕訳が考えられます。

借方に普通預金100万円、貸方に雑収入100万円を計上します。

ただし、実際の勘定科目や収益認識のタイミングについては、補助金の種類や会社の会計処理によって異なる場合があります。

また、補助金を使って固定資産を購入した場合には、単純に「補助金を雑収入として計上して終わり」とは限りません。

固定資産の取得価額や減価償却、圧縮記帳などについても確認する必要があります。

補助金で設備を購入した場合の税金

補助金の代表的な利用方法の一つが、設備投資です。

たとえば、500万円の設備を購入するために200万円の補助金を受け取った場合、補助金によって自己負担額を抑えながら設備を取得できます。

一方で、設備を購入すると、その後は減価償却費を計上することになります。

ここで問題になるのが、補助金を受け取った場合の固定資産の取得価額です。

一定の要件を満たす場合には、法人税法や所得税法上の圧縮記帳を利用できるケースがあります。

圧縮記帳を利用すると、補助金によって取得した固定資産について一定の処理を行い、補助金を受け取った年度の課税所得への影響を抑えることができます。

ただし、圧縮記帳は「税金が完全になくなる制度」ではありません。

将来の減価償却費などに影響するため、税負担を単純に免除するのではなく、課税を繰り延べる効果を持つ制度と考えると分かりやすいでしょう。

補助金の圧縮記帳とは

圧縮記帳とは、国や地方公共団体などから補助金などを受け取り、その補助金を使って固定資産を取得した場合に、一定の要件のもとで固定資産の帳簿価額を圧縮する会計・税務上の制度です。

通常、補助金を収益として計上すると、その分だけ利益が増加します。

しかし、同じ年度に多額の設備投資を行っているにもかかわらず、補助金だけが収益として課税されると、補助金を受け取った年度に大きな税負担が発生する可能性があります。

そこで、一定の要件を満たす場合には圧縮記帳を利用できます。

圧縮記帳によって当期の課税所得を抑えられる可能性がありますが、その分、固定資産の帳簿価額が小さくなるため、将来の減価償却費が少なくなるなどの影響があります。

そのため、圧縮記帳は税金を永久に減らすための制度ではなく、課税時期を調整する制度として理解することが重要です。

補助金を受け取った年度に税金が増えることがある

補助金を利用する際には、「補助金が入金されたから資金繰りが楽になる」とだけ考えないことが重要です。

補助金が課税対象となる場合、決算時に税金の支払いが発生する可能性があります。

たとえば、事業年度中に500万円の補助金を受け取った一方で、補助対象となる支出やその他の経費との関係によって課税所得が増えれば、法人税などの納税額が増加する可能性があります。

補助金は返済不要であることが大きなメリットですが、税金の支払いまで含めた実質的な資金効果を考える必要があります。

補助金の入金額をすべて自由に使える資金として考えてしまうと、後になって納税資金が不足する可能性があります。

補助金を受け取った場合は、税金として支払う可能性のある金額も考慮して資金を管理しましょう。

補助金と助成金では税金の扱いが違うのか

補助金と助成金は、どちらも国や自治体などから支給される返済不要の資金として利用されます。

しかし、制度の目的や申請方法、支給条件などは異なります。

税務上の取り扱いについては、「補助金だから非課税」「助成金だから非課税」というように名称だけで判断することはできません。

重要なのは、その給付金がどのような目的で支給され、どのような税法上の取り扱いになるのかを確認することです。

事業者向けの補助金や助成金を利用する場合は、交付決定通知書や公募要領、制度の公式案内などを確認し、必要に応じて税理士へ相談することをおすすめします。

補助金を申請する前に税金も確認しておく

補助金は採択されてから税金について考えるのではなく、申請する段階から税務上の影響を確認しておくことが大切です。

特に高額な補助金を申請する場合は、受給した場合に利益や所得がどの程度変化するのかを事前にシミュレーションしておくと安心です。

また、補助金の対象となる経費についても、どのような支出が認められるのかを確認しておきましょう。

補助金を受け取ることで資金繰りが改善する一方、補助金を利用した設備投資によって減価償却費が発生するなど、将来の損益にも影響します。

補助金は単に「もらえるお金」と考えるのではなく、事業全体の資金計画や税務計画の中に組み込むことが重要です。

補助金の税金について税理士に相談したほうがよいケース

補助金の金額が大きい場合や、設備投資を伴う場合は、税理士などの専門家へ相談したほうがよいでしょう。

特に、複数の補助金を受け取っている場合、固定資産を取得した場合、決算期をまたいで補助金を受け取る場合などは、会計処理が複雑になる可能性があります。

また、圧縮記帳を利用するかどうかによっても税務上の処理が変わるため、自社で判断するのが難しい場合は専門家に確認することをおすすめします。

補助金の公募要領や交付規程には、補助対象経費や消費税の扱い、返還条件などが記載されていることもあります。

申請前から税理士などに相談しておけば、受給後の税負担まで考慮した資金計画を立てやすくなります。

補助金を資金繰りに活用するときの注意点

補助金は事業者にとって非常に有効な資金調達手段ですが、一般的な融資やファクタリングとは資金が入るまでの流れが大きく異なります。

補助金は申請すればすぐに入金されるものではなく、申請、審査、交付決定、事業実施、実績報告などを経てから支給される制度も多くあります。

そのため、補助金の採択を受けたとしても、実際に資金を受け取るまでには時間がかかる場合があります。

先に設備代金などを支払わなければならない制度であれば、補助金が入金されるまでの運転資金を別途確保する必要があります。

補助金を活用した事業を進める場合は、補助金の入金時期だけではなく、自己負担分や税金の支払い時期まで含めて資金繰りを考えることが大切です。

まとめ

補助金は返済不要の資金として事業者の資金繰りを支える有効な制度ですが、受け取った補助金が必ず非課税になるわけではありません。

法人が事業に関連して受け取る補助金は、原則として益金に算入され、法人税などの課税関係が生じる可能性があります。個人事業主についても、事業に関連して受け取った補助金は所得税などの計算に影響する場合があります。

一方、補助金そのものは通常、商品やサービスの対価として受け取るものではないため、消費税の課税売上には該当しないのが一般的です。ただし、補助金を使って購入した商品や設備などについては、通常の消費税のルールを確認する必要があります。

また、補助金を利用して固定資産を取得した場合には、一定の要件を満たすことで圧縮記帳を利用できる場合があります。圧縮記帳によって補助金を受け取った年度の課税所得への影響を抑えられる可能性がありますが、将来の減価償却などにも影響するため、税金が完全になくなる制度ではありません。

補助金を活用する際は、受け取れる金額だけを見るのではなく、税金、対象経費、入金時期、自己負担額などを含めて資金計画を立てることが重要です。

なお、補助金の税務上の取り扱いは、補助金の種類や事業者の状況によって異なる場合があります。実際の申告や会計処理を行う際には、制度の公募要領や税務上の最新情報を確認し、必要に応じて税理士などの専門家へ相談しましょう。