オンライン決算で会社の決算業務はどう変わる?進め方やメリットと注意点をわかりやすく解説

2026年10月1日

企業にとって決算は、1年間の経営状況を整理し、財務状況や利益などを明らかにする重要な業務です。一方で、日々の仕訳や帳簿の確認、決算整理、財務諸表の作成、税務申告など、多くの作業が必要になるため、経理担当者にとって大きな負担になりやすい業務でもあります。

近年では、会計ソフトやクラウドサービスの普及により、決算業務をオンラインで進める企業も増えています。オンライン決算を活用すれば、これまで紙の書類や社内のパソコンを中心に行っていた作業を、インターネット上で効率的に進められる可能性があります。

また、オンライン決算は単に作業時間を短縮するためだけのものではありません。会計データをリアルタイムで共有できるようになれば、経営者と経理担当者、税理士などが同じ情報を確認しながら決算作業を進められるようになります。

ただし、オンライン化すれば必ず決算業務が簡単になるわけではありません。データ入力のルール、権限管理、バックアップ、セキュリティ対策など、事前に確認しておきたいポイントもあります。

本記事では、オンライン決算の基本的な考え方から、従来の決算との違い、メリット、具体的な進め方、会計ソフトの活用方法、税理士との連携、注意点まで詳しく解説します。

オンライン決算とは

オンライン決算とは、インターネットを利用して会計データの確認や決算処理、財務諸表の作成などを進める方法を指します。

オンライン決算という言葉自体に法律上の明確な定義があるわけではありませんが、一般的にはクラウド型の会計ソフトなどを活用し、決算に必要な会計処理をオンライン上で行うことを意味します。

従来は、会社のパソコンにインストールした会計ソフトを利用したり、紙の領収書や請求書をファイルで管理したりする方法が一般的でした。

オンライン化すると、インターネット環境があれば、会社だけでなく自宅や外出先などから会計データを確認できる場合があります。

また、経営者、経理担当者、税理士など、複数の関係者が同じ会計データを共有できることもオンライン決算の特徴です。

オンライン決算が注目されている理由

オンライン決算が注目されている背景には、企業の業務効率化やデジタル化があります。

決算業務では、日々の取引を帳簿へ入力し、売上や仕入れ、経費などを正しく集計する必要があります。

さらに、決算期には未払金や未収金、減価償却費、棚卸資産などについて確認し、必要な決算整理を行わなければなりません。

紙の資料や複数のファイルを使って管理していると、資料を探すだけでも時間がかかる場合があります。

オンライン化することで、会計情報を一元管理しやすくなり、決算前に必要な確認作業を効率化できる可能性があります。

特に人手不足に悩む中小企業では、経理業務の効率化が経営上の重要なテーマになっています。

オンライン決算と通常の決算の違い

オンライン決算と通常の決算では、決算そのもののルールが変わるわけではありません。

会社はオンラインで決算を行う場合でも、適切な帳簿を作成し、必要な決算整理を行い、財務諸表を作成する必要があります。

大きく異なるのは、決算に必要な情報をどのように管理し、関係者とどのように共有するかという部分です。

紙の資料を中心に決算を行う場合は、領収書や請求書、帳簿などをファイルで管理し、必要な資料を担当者間で受け渡すことがあります。

一方、オンライン決算では、クラウド上の会計データや電子化された証憑などを活用して、情報を共有しながら作業を進められます。

そのため、オンライン決算の導入によって決算業務の流れそのものを見直せる可能性があります。

オンライン決算のメリット

オンライン決算には、さまざまなメリットがあります。

特に大きいのが、会計情報を共有しやすくなることです。

クラウド型の会計ソフトを利用すれば、経営者と経理担当者、税理士などが同じデータを確認できる場合があります。

また、銀行口座やクレジットカードなどのデータを会計ソフトと連携できるサービスもあり、仕訳入力の負担を軽減できる可能性があります。

決算期になってから大量のデータを処理するのではなく、日常的に会計データを整理しておくことで、決算時の作業量を抑えることにもつながります。

場所を選ばず会計データを確認できる

オンライン決算の大きな特徴の一つが、インターネット環境を利用して会計データへアクセスできることです。

従来型の会計ソフトでは、特定のパソコンにデータが保存されているため、そのパソコンを使用できる場所まで行く必要がある場合があります。

クラウド型の会計システムなら、権限を持つユーザーがオンライン上からデータを確認できるケースがあります。

そのため、経営者が外出先から会社の売上や利益を確認したり、税理士が遠隔で会計データを確認したりすることも可能になります。

ただし、利用するサービスによってアクセス方法や利用できる機能が異なるため、導入前に確認することが重要です。

経理担当者の作業負担を軽減できる

決算業務では、日々の取引を正しく記録しておくことが重要です。

オンライン会計ソフトには、銀行口座やクレジットカードなどのデータを取り込んで、仕訳作業を効率化できる機能が搭載されているものがあります。

また、定型的な取引について仕訳ルールを設定できる場合もあります。

こうした機能を活用することで、経理担当者が一件ずつ手作業で入力する負担を減らせる可能性があります。

ただし、自動連携されたデータがすべて正しいとは限らないため、最終的には人による確認が必要です。

決算資料を共有しやすくなる

オンライン決算では、会計データを共有しやすくなる点もメリットです。

たとえば、税理士に決算処理を依頼する場合、紙の帳簿や大量の資料を郵送する代わりに、クラウド上の会計データを共有できる場合があります。

これにより、資料の受け渡しにかかる時間を短縮できる可能性があります。

また、経営者が会計状況をリアルタイムに確認できれば、決算期を待たずに経営判断を行いやすくなります。

オンライン決算で経営状況を把握しやすくなる

決算は、単に税金を計算するための作業ではありません。

会社がどれだけ売上を上げ、どの程度の利益を確保し、どのような資産や負債を抱えているのかを確認する重要な機会です。

オンライン会計システムを活用すれば、月次の段階で損益状況を確認しやすくなります。

そのため、決算直前になって初めて会社の経営状態を把握するのではなく、日常的に数字を確認しながら経営改善につなげられる可能性があります。

オンライン決算の基本的な進め方

オンライン決算を行う場合でも、決算の基本的な流れは通常の決算と大きく変わりません。

まず、1年間の取引を会計システムに正しく記録します。

その後、売上や仕入れ、経費などの残高を確認し、未処理の取引がないかチェックします。

さらに、減価償却や棚卸、未払金、未収金などについて必要な決算整理を行います。

決算整理が完了したら、損益計算書や貸借対照表などの財務諸表を作成します。

その後、法人税や消費税などの税務申告に必要な処理を行います。

オンライン化によって作業場所やデータ共有の方法が変わっても、正確な会計処理が必要である点は変わりません。

日々の経理処理がオンライン決算の重要なポイント

オンライン決算を効率的に進めるためには、決算期だけ頑張るのではなく、日々の経理処理を適切に行うことが重要です。

会計データの入力を後回しにすると、決算直前に大量の取引を処理することになります。

また、領収書や請求書が整理されていなければ、入力した数字が正しいか確認することも難しくなります。

オンライン決算を導入する場合には、日常的に会計データを更新するルールを社内で決めておくとよいでしょう。

銀行口座と会計ソフトを連携する

オンライン決算を効率化する方法の一つが、銀行口座と会計ソフトの連携です。

対応している金融機関であれば、入出金データを会計ソフトへ取り込める場合があります。

これによって、銀行口座の取引を一件ずつ手入力する作業を減らせる可能性があります。

ただし、取り込んだデータの勘定科目や取引内容が正しいかどうかは確認する必要があります。

自動化は経理担当者の負担を軽減するための手段であり、確認作業まで完全になくなるわけではありません。

クレジットカードの明細もオンライン化できる

会社のクレジットカードを利用している場合、カード明細を会計ソフトへ連携できることがあります。

たとえば、事務用品の購入、広告費、交通費、通信費など、さまざまな経費がクレジットカードで決済されることがあります。

これらを手入力する代わりにデータ連携できれば、入力作業を効率化できます。

ただし、個人用カードと法人用カードの利用を混在させると、経理処理が複雑になる可能性があります。

オンライン決算を効率化するためにも、会社の支出と個人の支出を明確に分けることが重要です。

オンライン決算と電子申告の違い

オンライン決算と電子申告は、同じものではありません。

オンライン決算は、会計データの整理や決算業務をオンラインで進めることを指します。

一方、電子申告は、税務署などへ税務申告のデータを電子的に送信する手続きです。

オンライン会計ソフトで決算処理を行い、その後に電子申告を利用するという流れもあります。

そのため、「オンライン決算を導入すれば税務申告まで自動的に完了する」と考えないようにしましょう。

法人の決算とオンライン化

法人では、決算後に法人税申告などの税務手続きが必要になります。

オンライン会計システムを利用して決算書を作成できるようにしておけば、税務申告に必要な情報を整理しやすくなる可能性があります。

また、税理士へ申告を依頼している会社であれば、会計データをオンラインで共有することで、税理士とのやり取りを効率化できる場合があります。

特に、遠隔地にいる税理士と契約している会社では、オンライン化によるメリットを感じやすいでしょう。

オンライン決算で税理士と連携する方法

税理士に決算を依頼している場合、オンライン会計ソフトを活用することで、会計データを共有しやすくなります。

従来は、紙の資料をまとめて税理士へ渡したり、会計データをUSBメモリなどで受け渡したりするケースもありました。

クラウド型の会計システムであれば、権限を設定したうえで税理士にアクセスしてもらうことができます。

これにより、税理士側が会社の会計状況を確認し、必要な修正や資料提出を依頼する流れを作りやすくなります。

ただし、税理士によって対応している会計ソフトが異なるため、導入前に確認することをおすすめします。

オンライン決算に向いている会社

オンライン決算は、特に複数の場所で事業を行っている会社や、経理担当者が少ない会社と相性がよい可能性があります。

たとえば、経営者が外出することが多い会社では、オンラインで会計状況を確認できることがメリットになります。

また、税理士とオンラインでやり取りしたい会社や、テレワークを導入している会社にも適しています。

一方、紙の資料が多く残っている会社では、オンライン化する前に業務フローそのものを整理する必要があります。

オンライン決算を導入する前に業務を整理する

オンライン会計ソフトを導入すれば、それだけで決算業務が効率化するわけではありません。

現在どのように経理処理を行っているのかを確認し、どこに時間がかかっているのかを把握することが重要です。

たとえば、領収書の回収に時間がかかっているのであれば、電子保存やスマートフォンからのデータ登録などを検討できます。

請求書の処理に時間がかかっているのであれば、請求書発行システムとの連携を検討できます。

まず問題点を整理したうえで、オンライン化する範囲を決めることが大切です。

オンライン決算で注意したいセキュリティ対策

オンラインで会計データを管理する場合、セキュリティ対策は非常に重要です。

会計データには売上、仕入れ、給与、預金残高など、会社にとって重要な情報が含まれています。

そのため、IDやパスワードを適切に管理し、不正アクセスを防ぐ必要があります。

また、複数の従業員が会計システムを利用する場合には、必要以上の権限を与えないことも重要です。

退職者や異動した従業員のアカウントを放置しないようにするなど、社内のアカウント管理も徹底しましょう。

オンライン決算ではデータのバックアップも重要

オンラインサービスを利用する場合でも、データ管理について確認しておく必要があります。

クラウドサービスでは事業者側でデータを管理する仕組みが整えられている場合がありますが、自社としてもデータの保存や復旧方法について確認しておくと安心です。

特に、サービスの仕様変更や契約終了などが発生した場合に、会計データをどのように取り出せるのか確認しておきましょう。

また、重要な決算資料については、必要に応じてPDFなどで保存しておく方法もあります。

オンライン決算と電子帳簿保存法

オンライン決算を導入する場合、電子帳簿保存法についても確認しておくことが重要です。

電子取引によって請求書や領収書などを受け取る場合には、電子データの保存について一定のルールがあります。

たとえば、メールで請求書のPDFを受け取った場合など、紙に印刷するだけではなく、電子データとして適切に保存する必要があるケースがあります。

オンライン決算を進める際には、会計ソフトだけでなく、請求書や領収書などの証憑管理も含めてデジタル化を検討するとよいでしょう。

オンライン決算で紙の書類を減らせる

決算では大量の書類を確認することがあります。

領収書、請求書、契約書、銀行明細など、さまざまな資料を紙で保管していると、保管場所の確保だけでも負担になります。

電子化できる書類について適切な方法で管理すれば、紙の使用量を減らし、必要な資料を検索しやすくできる可能性があります。

ただし、すべての書類を自由に電子化できるわけではありません。

法律上の保存要件や取引先との契約内容などを確認し、適切な方法で管理することが必要です。

オンライン決算にかかる費用

オンライン決算を導入する場合、会計ソフトや請求書管理サービスなどの利用料が発生することがあります。

無料で利用できるサービスもありますが、機能や利用人数などに制限が設けられている場合があります。

有料サービスでは、銀行口座連携、請求書発行、経費精算、給与計算など、さまざまな機能を利用できることがあります。

導入費用だけで判断するのではなく、現在の経理業務にどれだけの時間がかかっているのかを考え、費用対効果を確認することが重要です。

オンライン決算を導入する際のポイント

オンライン決算のサービスを選ぶ際には、自社に必要な機能があるか確認しましょう。

たとえば、法人の規模や従業員数、取引件数、税理士との連携方法などによって適したサービスは変わります。

特に確認したいのが、銀行口座やクレジットカードとの連携機能です。

また、請求書発行や経費精算など、現在別々に行っている業務をまとめられるかどうかも重要です。

さらに、税理士が使用している会計ソフトとの互換性を確認しておくと、導入後のやり取りがスムーズになります。

オンライン決算で起こりやすい問題

オンライン化によってすべての問題が解決するわけではありません。

たとえば、会計データの入力ルールが社内で統一されていなければ、オンライン上で情報を共有しても数字が正しくならない可能性があります。

また、自動仕訳機能を過信すると、誤った勘定科目で処理されたまま決算を迎えてしまう可能性もあります。

オンライン化の本当の目的は、単純に紙をなくすことではありません。

正確な経理処理を維持しながら、無駄な作業を減らし、経営判断に必要な情報を早く確認できる環境を作ることが重要です。

オンライン決算を成功させるために必要な社内ルール

オンライン決算を導入する場合、社内で経理処理のルールを統一することが重要です。

誰が領収書を登録するのか、どの勘定科目を使用するのか、いつまでに入力するのかなどを決めておきましょう。

また、会計データを修正する場合のルールや、誰が決算前のチェックを行うのかについても決めておくと安心です。

オンラインシステムは便利ですが、利用する人によって入力方法が違えば、かえって確認作業が増えることがあります。

オンライン決算は経営改善にも活用できる

オンライン決算のメリットは、決算作業を効率化できることだけではありません。

日々の会計情報をリアルタイムに近い形で確認できれば、経営状況を把握するスピードも上げられます。

売上が計画を下回っている場合には早い段階で営業戦略を見直したり、経費が増えている場合には原因を確認したりできます。

また、資金繰りを考えるうえでも、現在の売掛金や買掛金、預金残高などを把握できることは重要です。

決算のためだけに会計システムを利用するのではなく、日常的な経営管理に活用することで、オンライン化の効果を高められます。

オンライン決算で資金調達の準備もしやすくなる

企業が融資やその他の資金調達を検討する場合、決算書や試算表などの財務資料が重要になります。

オンライン会計を活用して日々の数字を整理しておけば、金融機関などへ提出する資料を準備しやすくなる可能性があります。

また、売上や利益、借入金などを日常的に確認できれば、資金が不足する前に資金調達を検討することにもつながります。

特に中小企業では、資金繰りの状況を正確に把握することが経営の安定に直結します。

オンライン決算を単なる経理効率化の手段としてではなく、財務管理や資金調達の基盤として活用することも重要です。

オンライン決算を導入する際は段階的に進める

いきなりすべての経理業務をオンライン化すると、社内で混乱が生じる可能性があります。

まずは会計ソフトのクラウド化から始め、その後に銀行口座やクレジットカードとの連携、請求書の電子化、経費精算などへ範囲を広げる方法もあります。

段階的に導入すれば、従業員が新しい業務フローに慣れながらオンライン化を進められます。

また、導入後にどの業務が効率化されたのかを確認し、必要に応じて運用方法を改善することも大切です。

まとめ

オンライン決算は、クラウド型の会計ソフトなどを活用し、決算に必要な会計処理や情報共有をオンラインで進める方法です。

決算そのもののルールが変わるわけではありませんが、会計データの入力や確認、資料の共有、税理士との連携などを効率化できる可能性があります。

オンライン決算の主なメリットは、会計情報を共有しやすいこと、場所を選ばずデータを確認できること、経理担当者の入力作業を減らせる可能性があることなどです。

また、銀行口座やクレジットカードとのデータ連携機能を活用すれば、日々の経理業務を効率化できる場合があります。

一方で、オンライン化すればすべての作業が自動になるわけではありません。

・自動取得した取引データの確認

・会計処理のルール統一

・IDやパスワードの管理

・アクセス権限の設定

・電子データの適切な保存

・決算資料のバックアップ

など、導入後の運用体制を整えることが重要です。

さらに、オンライン決算を導入する際には、電子帳簿保存法や電子申告など、関連する制度についても確認しておく必要があります。

特に電子取引によって請求書や領収書を受け取る場合には、電子データの保存方法について適切な対応が求められることがあります。

オンライン決算の最大のメリットは、決算期の作業を効率化するだけではありません。

日々の会計情報を整理しておくことで、経営者が会社の売上や利益、資産、負債、資金繰りなどを把握しやすくなり、経営判断にも活用できます。

また、金融機関からの融資やその他の資金調達を検討するときにも、日々の財務情報を整理しておくことは重要です。

オンライン決算を成功させるためには、単に新しい会計ソフトを導入するだけではなく、現在の経理業務を見直し、自社に合った形で段階的にデジタル化することが大切です。

自社の取引量や従業員数、経理担当者の人数、税理士との連携方法などを考慮しながら適切なサービスを選び、社内の運用ルールを整備しましょう。

オンライン決算を上手に活用すれば、経理担当者の負担を軽減しながら、決算業務の効率化と経営状況の見える化を同時に進められます。決算を単なる年1回の作業として捉えるのではなく、日々の経営管理に活用することが、オンライン化の効果を最大限に引き出すポイントです。